新・中央郵便局を勝手に妄想してみる
先週の記事の続き。
大阪中央郵便局の外壁タイルは灰色です。
建物の保存を求めておられる専門家の多くはこの灰色こそ魅力があると評価されていますが、一般にはただの暗い色としか見られていないような気がします。
設計者の吉田鉄郎氏は「煤煙が多い大阪の街に合う」としてこの色を選んだそうです。「当初は白いタイルの予定だったが、太平洋戦争の影響で目立たない灰色に変更となった」とのエピソードも聞きますが、どうもこれは後の時代に作られた話のようです。こんな説が出てくるほどこの灰色の解釈は難しいものなのかもしれない‥‥
で。仮に考えてみました。
大阪中央郵便局が灰色でなく白色だったら?
#左は現在の灰色。右は白く画像処理したもの
外壁の色が明るかったら建物の印象もだいぶ変わりそうだなあ。(現在の灰色にこそ価値があるんやで!と怒られそうな気もしますが)真っ白な大阪中郵も見てみたいな気がします。
で。さらに妄想を続けてみる。
・既存部は残さず、すべて建て替え。
・(昔の設計そのままに)新ビルの低層部は現在の郵便局と同じ外観にする。
・タイルは純白!現代の最新撥水技術?で汚れにくくする。
・アルミサッシだと昔の鉄製サッシのように細くできないそうです。ちゅうわけでサッシも鉄枠で。最新の技術?で老朽しにくい加工をする。
・周囲の歩道がかなり狭いので、建物は現在よりもやや北西方向に移動。
・西半分は一体開発される敷地を使って高層ビルにして連結。
‥‥意外にいいかもよ???
大阪中央郵便局の外壁タイルは灰色です。
建物の保存を求めておられる専門家の多くはこの灰色こそ魅力があると評価されていますが、一般にはただの暗い色としか見られていないような気がします。
設計者の吉田鉄郎氏は「煤煙が多い大阪の街に合う」としてこの色を選んだそうです。「当初は白いタイルの予定だったが、太平洋戦争の影響で目立たない灰色に変更となった」とのエピソードも聞きますが、どうもこれは後の時代に作られた話のようです。こんな説が出てくるほどこの灰色の解釈は難しいものなのかもしれない‥‥
で。仮に考えてみました。
大阪中央郵便局が灰色でなく白色だったら?
#左は現在の灰色。右は白く画像処理したもの
外壁の色が明るかったら建物の印象もだいぶ変わりそうだなあ。(現在の灰色にこそ価値があるんやで!と怒られそうな気もしますが)真っ白な大阪中郵も見てみたいな気がします。
で。さらに妄想を続けてみる。
・既存部は残さず、すべて建て替え。
・(昔の設計そのままに)新ビルの低層部は現在の郵便局と同じ外観にする。
・タイルは純白!現代の最新撥水技術?で汚れにくくする。
・アルミサッシだと昔の鉄製サッシのように細くできないそうです。ちゅうわけでサッシも鉄枠で。最新の技術?で老朽しにくい加工をする。
・周囲の歩道がかなり狭いので、建物は現在よりもやや北西方向に移動。
・西半分は一体開発される敷地を使って高層ビルにして連結。
‥‥意外にいいかもよ???
Comments
埼玉人として(笑)のアイデアですが、中央郵便局の外壁デザインを新たに建設されるビルの低層部に部分的に組み込む、というのはどうでしょうか?
例えばガラス張りになるとして、その一部を大きく開き郵便局の外壁と窓などが露出するような雰囲気で、、、。旧建築(歴史)と高層ビル(未来)が共存する?イメージです。
東京の例でいいますと、表参道ヒルズの一部に同潤会アパートのデザインが再現されるような感じで、それを更にダイナミックに組み合わせると意外と化けるかもしれません。
以上、提案というか妄想でした(^-^;失礼いたします。
ゴリモンさんの案、これはなかなかいい…と思いながら、同じような妄想にしばしふけってしまいました。
大阪中央郵便局の建物に愛着を持つ者の一人として、どのような形でも、その外観が残るのは喜ばしいと思います。
しかし、はたしてそれが大阪の駅前の建築物として、今後もあるべきかたちなのかどうか、と考えると、必ずしもそうではないように考え始めました。
私は灰色の郵便局を幼い頃から眺め続け、暗い色彩を一方では疎ましく思いつつ、一方では硬派なカッコよさを感じてきました。駅前の超一等地にこのような威圧的な建物が、遠慮なく居座ろことが許されたのは、それが「中央郵便局」だからであって、そのことが日本に冠たる大都市の一つであることの証として大阪の駅前風景を形成し続けてきたのだと思います。
「駅前に中央郵便局」という構図は、鉄道が郵便物輸送の中心だった時代があったことの証左です。その役割は新大阪支店(民営化前までは新大阪郵便局。安治川口にあります。)に明け渡して久しいですが、それでもこの建物は、「大阪は立派な都市なんだぞ、大阪駅は重要な駅なんだぞ」と声なき主張をし続けてきたんです。
私は中央郵便局の灰色の建築的価値や歴史的経緯については無知ですが、この灰色には愛着があります。なぜならこの色は、戦前から鉄道と一体になって日本の逓信事業を見てきた生き証人だからです。
この建物が知っているのはかつて国営であった逓信事業、日本の横顔そのものです。ずっとその色、その姿でそこにあったという事実が、日本の、そして大阪という都市の年輪を見る人に感じさせるのです。
個人的には、「この場所」に「この建物」を「そのまま」残せないなら、むしろ一切の面影なく新しい建物を造るほうがいいと思います。私にとってこの建物への愛着は産業遺産的な価値を多分に含むのであって、建物そのものに対する美意識だけで説明がつくものではないからです。
この建物を建て替えるのは「新陳代謝」ではなく、「終焉」だと思います。
例えばうめだ阪急ビルがなくなったことは、大阪中央郵便局よりもはるかに惜しいことでした。しかし、ソフトとしての阪急百貨店が存在し続ける限り、歴史は刻まれ続けます。今度建つ新しい阪急百貨店が親しまれる名建築となることに期待しよう、と気持ちを切り替えることもできます。
しかし郵便局ではそうはいきません。今の建物をどんなに忠実に再現しても、もはやそこに刻まれる歴史は連続しないのです。時代も、社会も、何もかもが変わってしまって、もう残っているのはハコだけという状態だからです。しかもそのハコの外観は、美的には万人受けするものでなく、建て替えてなおしがみつくようなデザインではありません。
建て替えるならきっぱり新しいデザインにすべきだと思います。仮に現デザインを踏襲したところで、私のように、中央郵便局の建物にある種の愛着を持っている人は、「何か違う」と思い、何の愛着もない人からは不評を買うという中途半端な結果となる危険が大きいです。そんなリスクにコストを払わず、皆に親しまれる「都市の顔」をデザインするという気構えをもって臨んでいただきたい、というのが個人的な思いです。
今回ゴリモンさんの案に触れるまで、私は大阪中央郵便局の建て替えについては何のオピニオンもありませんでしたが、
色々自分でも妄想をしてみると、自分がこの建物の何にシンパシーを感じていたのかがはっきりしてきました。ありがとうございました。
ベストなのか・・・
このビルの評価、良さは人それぞれ大きく分かれますね
事実なら、ずいぶん短絡的な発想のような気が・・。
吉田鉄郎という人、富山県出身で東京帝大出の逓信官僚だったようですが、なんか大阪を見下した発想で適当に決めた色なんじゃないかと・・。そんな建築を半世紀後に残すの残さないので騒いでる様子を吉田氏は天国で舌をだして見てたりして・・
たかが郵便局されど郵便局。この建物一つで、ここまで
議論が巻き起こる事が、この建物の価値と立地の意味の
大きさを物語っていると思います。
願わくは悔いの無い、将来のある結論が出る事を。
今回は提案っていうか安易な妄想なもので軽く受け流して下さい。建物の雄姿を残せて、さらに周囲の歩道にもう少し余裕があったらいいなと短絡的に考えたのですが、やはり現在の建物に対する敬意に欠けてますね^^;
≫なまはげさん
現在が無駄な部分をそぎ落とした合理的な建物だから、一部のデザインだけを残すのは難しいかなあと思うんです。
ならば建物の外観デザインをまるごと再生‥‥と思ったのですが、やっぱ安易ですね^^;
≫もんもんさん
実は今回は他にもいろいろ妄想をしていたんですが、もんもんさんのご意見をうかがって自分の考えも整理できてきました。少なくとも、色を明るくだけして建物のデザインを残すのでは、時代にそぐわないものができるだけだなあ‥‥。
まだまだ僕の意見は二転三転しそうですが(おいおい^^;)、今回の建て替えが「新陳代謝」ではなく「終焉」という考えに賛成します。
また、重厚な建物だしデパート等としても使えるという意見もあるようですが、それもどうかと思うようになってきました。かつての大都市駅前での郵便事業はもう消え去っているのだからハコだけ残せばいいってもんでもないのかも。
≫キンキさん
建物うんぬんより、昭和初期の思想を現在どう評価するかって問題なのかもしれない。ほんま難しいです。
華やかな近代建築の場合とは事情が違いますね。
≫nuhhehooさん
現在と違って大大阪の時代です。大都市の駅前に国営の立派な建物を造ろうとしているのですから「煤煙の多い街には暗い色でいいや」という発想では無かったんじゃないかなあ。少なくとも見下して適当に決めた色ではないと思います。
でも、現代の大阪の街並みを見て天国の吉田氏がどんな建物が合うと思っているかは聞いてみたい気もします。
≫よっさん
ほんま、この建物の価値と立地の意味は議論する価値があると思います。どういう結論が出るのでしょうね。
昨日の時点での安易な発想を記事にしちゃったのですが、これで良かったかも。自分的には次のステップに進めました。ブログって気楽なツールでええわ^^
権威主義的に見られることが多いような気がします。
私も、個人的にはダイビルやガスビルのような「分かりやすい」デザインの方が保存価値を見出しやすいですね。素人だし ^^;
「煤煙のイメージ云々」ですが、公害問題がクローズアップされるまで工場の煙突の煙というのは、工業化の象徴、産業、文明の象徴みたいに思われていて、大阪も「東洋のマンチェスター」と
謳われていたことに鑑みると、必ずしもマイナスイメージで、しかも見下してという意図はないと思われます。
まあ、天国の吉田さんご本人に聞いてみないと本心は分かりませんが ^^;
現代でいえばさしずめ「コテコテの街大阪にはコテコテの色がよく似合う」とか言って道頓堀のドンキホーテのような建物を建ててしまうようなものかと^^;
現状は、柱と柱の間において、4x5などに窓が細切れになっていますが、これを1枚のビッグガラスにするだけで、かなり印象は変わる様な気がします。ビッグガラス内には、南船場・ハービスの様なショーケース風レイアウトにして、ブランドショップを誘致する。
これを、全階に展開して、真ん中に駅直結の南北通路を設ける。ハービスともデザイン性に優れた人道橋で渡れる様にする。
梅田は、銀行の支店が抜けたあとをブランドショップの路面店として活用した心斎橋と違って、路面店として活用できるようなビルがありませんでしたが、中央郵便局は大物かもしれません。
間違っても、窓を壁にしたり、広告などで埋めない様にして欲しいですね。
≫りりぃさん
モダニズム建築ってそれまでの時代の建築物の装飾をなくすだけでなく合理的に空間を活用しているところに価値があるそうです。一般人には解りづらい。
建て替えをめぐっての論議はこれからいろんな場所で起きそう‥‥
≫nuhhehooさん
(僕はこの吉田鉄郎って方を他には東京中央郵便局や現・新風館くらいしか知らないのであまり偉そうには語れないのですが)彼の作品集の中でたくさんページを割いて紹介しているそうです。思い入れのある作品なんだし決して安易に色を選択したのではないと思います。
先日のシンポでは周囲の風景に溶け込むこの建物の「沈む価値」を訴えている先生もおられました。建物を「作品」としてどう解釈するか、その価値が70年後の現在の街に必要か、そもそも駅前の公の場所に「作品」が必要なのか、今はそれを皆で真剣に議論しているので、道頓堀のドンキと同じレベルでは語りたくはないです^^;
それまでは、文明や力の象徴として、(多少の迷惑はあっても)ポジティブに語られる場面のほうが多かったんじゃないかと思います。中央郵便局が建った頃の大阪駅周辺では、わざわざ工場に近寄らずとも、蒸気機関車の吐き出す煤煙が、それこそ始終立ちこめていたことでしょう。その蒸気機関車の色はもちろん黒。カッコイイもの、人々を豊かにしてくれるものが暗い色彩をまとっていたのはよくある光景でした。中央郵便局が灰色で建てられたのも、当時ではごく自然な発想だったんじゃないかと思いますよ。
そもそも当時の日本は街全体の色彩が今と全然違うはずです。今見て地味に見えるものは、当初から地味だったはずだと考えるのは早計ではないでしょうか。私はむしろ、今ではすっかり地味になってしまったこの郵便局を見るとき、そんな当時に思いを馳せ、日本の、そして大阪の人々の活気やロマンを透かして見ているような気がするのです。以前ゴリモンさんが公開していらっしゃったタイムスリップの合成写真シリーズのように…(あれは本当に秀逸でしたね。笑)
「日本のピッツバーグにモダンな百貨店がそびえ立っている」と1942年の米誌に掲載されたそうです。
http://www.flickr.com/photo_zoom.gne?id=691152348&size=o
≫もんもんさん
当時の街並みってモノクロ写真でしか見れないから正確には判りませんが、おっしゃる通り街全体がもっと地味だったのでしょうね。上階にいくほど数の少なくなっていく窓枠の割付も、現代に比べて高層ビルを建設する技術に乏しい時代の「いかに高く立派に見せるか」の工夫だったそうです。威厳のある国営施設だし「地味」でなく「重厚」な印象をねらったのだろうなーと思います。
≫e_fanさん
中央郵便局と百貨店を比較すると面白いですね。
同じ昭和初期の格式ある建物だけど、かたや無駄を省いた黒い建物でかたや装飾たっぷりの白い建物。正反対だ^^
ちっとも盛り上がってるように思えませんが・・^^;
都会の中の灰色って、どうも無味乾燥な印象が強いんですよね。
白地にでっかく〒の赤い看板?でも付けてくれたら、なかなかいいと思うんですが
いかがでしょうか?
≫あかさたなさん、muganjiさん
あかさたなさんは建物は新たにしてデザインのみを残すとおしゃっているのかな?僕の勝手な妄想にのってくださったという事でしょうか?
いずれにせよ(東京中央郵便局に比べると)一般にはあんまり保存運動は盛り上がっていないような気がします。
≫ガケップさん
白地にでっかく〒の赤い看板‥‥、うひゃ!^^;