[2] うめだ阪急 2005→2012

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阪急百貨店の凄さ その5
2012/11/25 10:50 PM
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大阪は日本一の百貨店競合激化地域

 2011年春に売場面積を4割広げて、売上高が前期比2%増を続けている高島屋大阪店は外商顧客とのつながりを強化する取り組みを始めています。

 大丸梅田店は「ポケモンセンターオーサカ」、「ユニクロ」、「東急ハンズ」を入居させるなどして、カテゴリーキラー(ある一部門で圧倒的な力を持つ店)を売場に導入するなどして新しい百貨店のカタチを模索しています。

 JR大阪三越伊勢丹は苦戦が伝えられていますが、東京流から徐々に大阪流の店づくりへと変化させてきており、最近では「タニタ食堂特製弁当」を11月から発売するなど、話題を提供し始めています。

 2013年春には「あべのハルカス 近鉄本店」が10万平方メートルという日本一レベルの売場面積となってオープンする予定で、大阪は完全に巨艦店同士の競争となります。

 2013年には大阪市内の百貨店の売場面積は従来の1.5倍に広がります。完全にオーバーストアです。

 こうなると、単に売場面積が日本一とか、日本初上陸のブランドがあるとかいうことではこの激しい競合状況の中で選ばれる百貨店にはなりません。

 モノだけを揃えても、もはや魅力的な売り場はつくれません。だからこそ、阪急うめだ本店は、9階の「祝祭広場」に代表されるような、非物販ゾーンに売場の2割をも割いたのです。直接の売上にはつながらなくても、非物販の空間、休憩場所、照明、音響、そして従業員が楽しく働ける空間づくりこそがこれからの百貨店の売上を上げていく肝になると考えたのです。

 モノからコトへのシフトとは、実は、コトを体験させてモノを買ってもらうためのシフトなのです。これこそがこれからの百貨店や小売業に必要な戦略シフトです。

 現在、百貨店業界は都心大型店への集中投資が起きています。地方の小型店は閉鎖、もしくは別業態への転換へと動いています。通常通りのやり方で、ありきたりの戦略しか打ち出せない店は生き残ることができない厳しい時代に入り始めています。

 その点で、大阪地区の百貨店はそれほど大きいとは言えないエリアに、たくさんの百貨店がひしめく、日本でも稀に見る厳しい商圏です。ゆえに、お互いが凌ぎを削って生き残り競争を繰り広げ、それを通して今後の百貨店の生き残り策が見えてくる商圏でもあります。

 筆者は、これだけ巨大な百貨店が生き残っていくには、それぞれの店の特徴を活かした独自性のある店づくりしかないと筆者は思っています。

 百貨店同士が売場面積やブランド数で勝負をする時代は完全に終わりました。モノからコトへと転換した今だからこそ、日本の百貨店の存在意義が問われています。

 本当の意味での非日常空間を提供できるか――。

 世界で初めての百貨店であるパリの「ボン・マルシェ」。同店を作ったブシコー夫妻が心がけたのは「驚愕」と「不意打ち」であったと言います。

 百貨店の原点とは、いかに人を感動・感激させられるか。そしてサプライズを提供できるかに尽きるということを意味しています。

 百貨店各社が本当に考えるべきことは、百貨店の誕生したこの原点なのかもれません。原点を大事にしつつ、どのように今の時流に合わせた戦略シフトを組めるのか。阪急うめだ本店からそのヒントを感じていただけるはずです。

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