[2] うめだ阪急 2005→2012

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阪急百貨店の凄さ その2
2012/11/25 10:47 PM
シフト1:ハコ型売場からオープン型売場へのシフト

 阪急うめだ本店を訪れて、おそらくみなさんが驚くのは、ハコ型ではなくオープンな売場空間です。ハコではなくオープンというのは、ブランドごとの仕切り壁を極力排除した売場づくりを基本としているということです。インポートブランドやブランドのカラーを強烈に主張したいところは別として、各フロアのそれぞれの売場はとても見通しがいい売場構造となっています。

 従来型の百貨店は壁を作り、ブランドがそれぞれの主張をしていたような閉鎖的な売場でしたが、これからの百貨店はお客が自由に売場を行き来し、商品をセレクトしやすい店にしなければいけません。それを実現させたのが阪急うめだ本店と言えるでしょう。

 JR博多阪急百貨店でも見られたこのオープン型売場。(参照:「“九州の新たな玄関口”に1日24万人が来店! なぜJR博多シティは人をひきつけるのか」) 閉鎖的な空間に比べて、それぞれのブランドのつながりができて、お客さんの滞留時間も延びているようです。

シフト2:洋服から雑貨へのシフト

 10階に今回の目玉売場の1つ、「うめだスーク」があります。スークとはアラビア語で“市場”のこと。ライフスタイル雑貨のフロアを3つの街区(南街区、中央街区、北街区)に分け、文具や雑貨を散策気分で味わえるというフロアです。

「今までにない百貨店のフロアを作る」という狙いで誕生したこの売場は、百貨店業界の常識からするとかなり異色なフロアです。「自分がいいと思える価値を仲間と共有できる、コミュニティのような場」をイメージして作られました。

 文具やギフトなどの品揃えにこだわった北街区。クリエーターや注目の作家などのギャラリーショップ、期間限定ショップなどが小屋のような売場で商品を並べる中央街区。そして今回のグランドオープンで登場する南街区は、上質手芸材料売場の「セッセ」、1点モノのアクセサリーや注目作家の商品を並べる「ガーデンマルシェ」などで構成されています。

 歩いていてもここが百貨店の店内という印象は持たないでしょう。まさにどこかの国の路地をぶらぶらと歩いているような錯覚に陥ります。そんなぶらぶら歩きが楽しめるフロアです。

 百貨店とはこうした楽しさを提供すべき業態であることを再認識させられます。

 また10F以外でも、バッグやネクタイなどの紳士用品雑貨、マフラーやスカーフ、靴やバッグなどの婦人雑貨がとても充実しています。その品揃えはいずれも日本有数のレベルでしょう。阪急うめだ本店は、百貨店として本格的に雑貨を強化した店とも言えるのです。

 ところで、なぜ「雑貨」なのでしょうか。

 この数年、アパレル業界では洋服以上に雑貨が売れるようになりました。

 渋谷ヒカリエが女性のための雑貨売場を揃えて集客につなげているように、今の消費環境の中では雑貨が集客の一大要因となっています。これからは洋服のブランドだけでは集客できないのです。

 同時に、今盛り上がり始めているトレンドに「手作り」や「手仕事」、「オリジナル」があります。手の温もりがこもったものに対しての憧れ、興味が20代女性を中心に強まっています。うめだスークにはそんな手作り感あふれるモノがたくさんあります。これは2013年に向けての一つの消費トレンドでもあります。同売場により「手作りの価値」が大きく見直されるきっかけともなるでしょう。

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